Bialladin
Bialaddin… 長い加圧式ランタンの歴史の中で、1946年~1968年までのたった20年間だけ存在したブランド。第二次世界大戦が終結し、世界の経済が拡大していった中で生まれたイギリスとアメリカの会社のユニット。
1938年、それまでイギリスの大手ランプメーカーのTilleyに金属部品を納入していた英HalifaxにあるWillis & Bates社はついに自社ブランド”Vapalux”として、ランタンの製造、販売を始める。第二次世界大戦が勃発すると彼らはイギリス軍へのサプライヤーとなり、軍需に後押しされ、2,000台/週もの生産をおこなっていた。
終戦後の1946年、Willis & Bates社は余りある生産設備を何とか活用すべく英国内だけでなく、海外へも販路を求めた。そして米国系企業Aladdin Industries of Greenfordと提携をし、ブランド名”Bialaddin”が誕生。そして”Vapalux”ブランドのランタンはイギリス軍へと納入されるものに限定された。
”Bialaddin”というブランド名はAladdin Industries社のおひざ元の米国以外で使用され、米国ではAladdin UKトップのJack Imberから名前をとり” Imber Research”というブランド名で展開していた。
主なモデルとしては、
加圧式ランタン:300x、305、310、315、320
加圧式テーブルランタン:T10、T20
加圧式ヒーター:Bowl Fire (Mark I ~Mark III)
Bialaddinのランタンは戦後の復興期から経済拡大期に製造、販売をされていたこともあり、300X~M315まではタンクをはじめとする各パーツは厚い真鍮でつくられているのが特徴。
Valapux M320とBialaddinのM315を比較すると似たようなデザインながら、重量に差が出るほどBialaddin M315の造りは素晴らしい。ポンピングノブのさわり心地を是非比べていただきたい。
1960年代後半、米Coleman社を除き世界の名だたるランタンメーカーは、電気の普及地域の拡大を背景に大きな方向転換を迫られる。この流れに押され、1968年、Willis & Bates社とAladdin Industries of Greenford社は20年に渡った提携を解消。Bialaddinの終焉である。
以後、Willis & Bates社は製造するランタン全てを” Valapux”ブランドとして販売。
1997年、Willis & Bates社はランタンの販売を中止したが、別の地元企業であるBairstow Brothers社がランタンの製造権を取得、2010年までイギリスの Pellon Works in Halifaxで生産されていた。
2010年代初頭、イギリス軍は液体燃料ランタンからLEDランタンに調達をシフトし、新規調達を停止したことを受け、Vapaluxブランドのランタンの製造・販売権は韓国メーカーに売却され、現在に至る。
店頭で、当時の重厚な作りのランタンを、是非、確認ください。
重量:1890g
幅155mm、奥行き155mm、高さ348mm